2013年4月30日火曜日

夜霧にむせぶ、、、。

四月半ばの根室・納沙布岬。
空は晴れてても、海べりには濃い霧。

風が強く、やせた土地で、ミズナラは風に歪みながらも低く低く踏ん張っている。
北方領土の島々も、遥か霧の彼方。
港もすっぽり霧の中。

日本という視点に立つと東の果て、雰囲気としても最果て感満点。
海の幸も陸の幸も、さっぱり何も無いこの時期にこの地を訪れることもそうあるもんじゃありません。
でも、この地にも春はそこまで来ています。
この日、今季初のサケマス船が満を持して出航。
ロシア船も来てる。夏になったらカニシーズン。
この場所にはこの場所のリズム。

「ノサップ」はアイヌ語で「岬のそば」。
地の果てでも国境でもなんでもない。ほんのご近所、日常の一部、ここはここ。
さすが、土地はどこまで行っても誰のものでもない、というアイヌのグローバル観。
そんな考え方であれば領土問題もないんでしょうけど。
「はしっこ」という見方は、偏った視点から生まれる。
飛び立つ向こうは世界のはしっこなのか、真ん中なのか?
無方向感覚の霧の中、
こんな季節、こんな天気のこの場所では、
先入観を閉じれば意識は自由に、
上下左右天地無用、世界も逆さま、新しい視点が見えてきます。