2013年2月17日日曜日

場所の記憶

掘って焼いて練って塗る。
掘って練って焼いて葺く。
漆喰と瓦です。
どちらもこの足元の大地から出来ています。
高知は良質の石灰岩が豊富で、南国市稲生は古くから石灰の生産が盛んなところ。
この山から多くの石灰岩が採掘されました。
石灰は土佐漆喰の原料です。
町のあちこちで美しい石灰岩の石積みも見られます。
石灰は昔ながらの極めてプリミティブな製法でつくられます。
 岩を掘りだして釜で焼く。
コークスに塩を添加して温度を上げ、焼き上げて行きます。
この釜は斜面を利用した高さ7mのとっくり型の断面で、上から石灰岩と燃料を投入して、下から取り出す仕組みになっており、
焼き上がった石灰岩を下から取り出すと、順番に下がって行きます。
そしてまた燃料と石灰岩を投入していく。
こうして出来た石灰をつかう土佐漆喰の特徴は、厚塗り出来ること。
この辺りの民家の壁も、無垢の漆喰で塗り固められています。
掘って焼いて練って塗る。
そしてまた土に還っていく。
その場所に生まれ、そしてまたその場所に還っていく。
エコロジーやバナキュラーといった言葉ともちがう、もっと有機的ないとなみのサイクル。
それぞれの場所にある、その場所の記憶。
ひともその一部にあることを自覚すれば、世の中変わりそうです。
かくいう自分は、そんなそれぞれの場所の記憶が知りたくて、
どうも地に足がついていないようです。
たぶん海洋民族なんでしょう。

2013年2月14日木曜日

胎児の夢

「人間の胎児は、母の胎内にいる十ヶ月の間に一つの夢を見ている・・・・・・」(夢野久作)
「古生代の一億年を数日で復習する胎児の世界・・・・・・」(三木成夫)
「赤ん坊の立ちあがる姿ほどの美しさがあるだろうか。・・・すべてがその瞬間、驚きと喜びと怖れとの混じりあった表情でそこに居る。まさに永遠のダンスなのだ。」(田中 泯)